悪人正機:吉本隆明、糸井重里
糸井さんは相変わらずの聞き上手であるが、
それにもまして吉本隆明という知の巨人の思考の柔軟さ・深さに、凡人の僕なんかは圧倒されるのである。
吉本さんの依頼を引き受ける原則は、「自己評価より下のことだったら、何でもやる。」というスタンス。
常人は、自分の自分に対する評価を第三者の自分に対する評価に近づけるために、つまり自分に対しても普遍的な善悪の評価を付けようとし、そこにエネルギーをかける。
でも、吉本さんは言う。
「自己評価が正しいか、間違っているか、それは別にどっちでもいいんですよ、あくまでも自己評価なんですから」
その上で、「自己評価より下のレベルのことなら、何でも安心してやるが、ちょこっとでも上のことは、無理してやっても、ことごとく失敗した。」との自分の経験談を話す。そこから、人を評価するときも、「自分で思っている以上の能力が必要なことをしようとする人はダメだ。」と切り捨てる。
所詮、人間が判断できる評価なんてものは間違っている可能性が高い。善人はそれに気がつかず、自分や世間の評価を普遍的なものと考えがち。ましてや精進すれば、自己評価以上のことも出来ると勘違いしてしまう。
そんな厚顔無恥な善人ですら極楽浄土にいけるのだから、自分は間違っていると自覚している悪人はなおさら極楽浄土にいける。
というあたりから、この対談本のタイトルは「悪人正機」となったのかな?と思う。
ふつうに生活する上で考える様々な「ことがら」に対して、糸井さんが吉本さんをのせながら、上手く吉本さんの考えている本質を引き出している。
-目次-
「生きる」ってなんだ?
「友だち」ってなんだ?
「挫折」ってなんだ?
「挫折」ってなんだ?
「殺意」ってなんだ?
「仕事」ってなんだ?
「物書き」ってなんだ?
「理想の上司」ってなんだ?
「正義」ってなんだ?
「国際化」ってなんだ?
「宗教」ってなんだ?
「戦争」ってなんだ?
「日本国憲法」ってなんだ?
「教育」ってなんだ?
「家族」ってなんだ?
「素質」ってなんだ?
「名前」ってなんだ?
「性」ってなんだ?
「スポーツ」ってなんだ?
「旅」ってなんだ?
「ユーモア」ってなんだ?
「テレビ」ってなんだ?
「ネット社会」ってなんだ?
「情報」ってなんだ?
「声」ってなんだ?
「文化」ってなんだ?
「株」ってなんだ?
「お金」ってなんだ?
病院からもどってきて
追記)糸井さんの対談集は、どれも読んでいるうちに「生きる元気」が湧いてくるなぁ。
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