2007年4月20日

プードル・スプリングス物語


"プードル・スプリングス物語" (レイモンド チャンドラー, ロバート・B. パーカー)

 村上春樹の新訳で、再び盛り上がったチャンドラーのフィリップ・マーロウのシリーズですが、そのチャンドラーのマーロウシリーズ最後の作品で未完だったモノをロバート・パーカーが引き継いで完成させた物語。
パーカーといえば、ボストンの探偵スペンサーシリーズ。「初秋」は、僕の大好きな作品です。
パーカーのスペンサーは元ボクサーでノンスモーカー、ジョギング好き、そのくせ読書家で知的という設定で、マーロウと比べるといささか力強いキャラクターなので、そんなパーカーが描くマーロウはどんなモンだろうと思って読みましたが、ちゃんとマーロウはマーロウでした。
それはそのはずで、パーカーは、根っからのチャンドラーフリークだったらしく、チャンドラーの作品に関する論文で博士号まで取っています。
チャンドラーは、物語のプロローグまで書いて他界してしまったとのこと。事件の始まりからその真相解明、前作の「長いお別れ」で結婚した大金持ちのリンダ・ローリングとマーロウのその後の物語、すべてパーカーによる創作だそうです。

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2006年8月25日

悪人正機:吉本隆明、糸井重里


"悪人正機" (吉本 隆明, 糸井 重里)

5年も前に発刊された本である。やっと読みました。
糸井さんは相変わらずの聞き上手であるが、
それにもまして吉本隆明という知の巨人の思考の柔軟さ・深さに、凡人の僕なんかは圧倒されるのである。

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2006年7月11日

ものぐさガーデニングのススメ


"ものぐさガーデニングのススメ失敗続きのガーデナーが最後に開く本" (ゼンヨージ ススム, 斉藤 吉一)

僕にとっては、目ウロコの本!

のっけから

植物の面倒を完璧にできる人はおそらく100人に1人。あとの99人は、たいてい「ラクしてできないかなぁ」と思っている「ものぐさガーデナー」なんです。 本書はそんな圧倒的多数派のあなたに贈る、 「めんどくさがり屋さんのための」ガーデニング教書です。

とある。
僕も生来、めんどくさがり屋である。そんな僕が最近、庭いじりに急激にハマっているのだが、「自分が気持ち良くなりたいから庭を手入れしているのか、庭を綺麗にするために苦労しているのか」判らないような状態になっている。特にこの時期は、すぐに雑草は生えるし、葉っぱを食べちゃう虫たちも飛んでくる。花が咲いたらその後に花柄摘みもしないといけない。バラなんてシュートがどんどん伸びちゃうから、それを誘導しなくちゃならない。相当に忙しいのである。楽しんでの忙しさなら良いのだが、最近は義務感に駆られての楽しくない忙しさなのである。

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2005年11月 3日

家ってなんだろう


"家ってなんだろう" (益子 義弘)

 朝日新聞10月31日の記事に”子どもに伝える「家」の本 人気建築家がシリーズで執筆”というのがあり、以前から気になっていたのに読んでなかったこの本を思い出した。  そこで、図書館で借りてきて読んだ。(当然、児童書架にあった。)  ”くうねるところにすむところ 子どもたちに伝えたい家の本”シリーズとあるが、家を建てようと真剣に考えている大人たちにも伝えたいと思う内容だった。  専門用語や哲学用語(?)で煙に巻くのではなく、ふつうの言葉で”家や建築の基本的な世界を伝えること”に誠実に取り組んでいる。

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2005年9月15日

海馬


"海馬―脳は疲れない" (池谷 裕二, 糸井 重里)

 人間の心はどこにあるのだろう?昔は、胸の中にあると信じていた。つい最近になって、「頭の中にあるらしい。」と、ぼんやりと考えるようになった。では、心は頭の中のどこに存在しているのか?  楽しい、やる気満々という時は、「心がウキウキする」なんて表現する。辛い時、悲しい時、やる気のない時は、「心が沈む」なんて表現する。心を自分でコントロール出来れば、もっと良く生きられる。そんな思いがあったなら、是非お勧めの一冊!文庫版もでて、コストパフォーマンス抜群! 

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2005年7月11日

「BeforeAfter」の本

大学時代の同級生のブログからのトラックバックです。




"あなたの家のビフォーアフター―100軒から学ぶリフォーム術" (ビフォーアフター劇的リフォーム研究所)

 ビフォーアフターという番組。サザエさんの声とわざとらしいBGM、それに設計者が自ら工事をするという演出のいやらしさから敬遠していた。いや、正確には無視していた番組であった。
 が、学生時代には辛口の論客であった友人のブログで、その番組関連らしい本が「お勧めだった」とエントリーされている。

 以下引用。
 --リフォームしようかな?と思ったらまず読むべき本として推奨します。
  これを読んでリフォームしよう、と思ったら後は専門家に相談!!(笑)--

 チェックしてみようかなと思う。
STUDIO PLANARIA 業務記録:お勧めだった「BeforeAfter」の本:

2005年6月18日

男たちは北へ

Hita Title

"男たちは北へ" (風間 一輝)を再読。  夏が近づくと、読みたくなる本。夏は、一人で、長い距離を、見知らぬ土地を行く課程をフィジカルに実感しながら移動したくなる。

 内容は、中年グラフィックデザイナーは自転車で、自立しつつある家出少年は徒歩とヒッチハイクで、東京から青森を目指す。陸上自衛隊幹部の法務官は、ある機密を守るためにグラフィックデザイナーを追う。ロードゴーイングストーリー。

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2005年5月 5日

半島を出よ



"半島を出よ (上)" (村上 龍)
 右のRecomendにもあるが、「半島を出よ(上・下巻)、村上龍 著」を読んだ。
 読んだのは、もう2週間ほど前だったのだが、なかなか自分のなかで整理がつかなくて、エントリー出来なかった。
 エンターテーメントとしては、「面白かった。」と一言で言い切れてしまうが、最近の村上龍さんの近未来の世界を描いた小説は、事実の裏付けと分析が徹底していて、タイムマシーンに乗って見てきた近未来のノンフィクションに思えてしまって、単純には楽しめない。

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2005年4月 5日

となり町戦争


"となり町戦争" (三崎 亜記)

AKIさんのブログを読んで気になっていたこの本をamazonでポチッと。

 で、早速読んだ。結構、急がされていた仕事があったのに、引き込まれて一気に読んでしまった。おもしろかった。

 普通に思っている”日常”と、戦争という”非日常”。でもその”非日常”は特別なところにあって、大きなうねりとなって押し寄せるモンではなくて、きっとどうしようもない大きな力で、知らず知らずに自分の廻りを取り囲んでしまうモノなのかもしれない。大きな力に抗すること無く思考停止してしまうことの恐ろしさ。

 そんな”非日常”の中でも”日常”は続く、仕事もしなくちゃいけないし、恋もする。

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