2005年4月 5日

となり町戦争


"となり町戦争" (三崎 亜記)

AKIさんのブログを読んで気になっていたこの本をamazonでポチッと。

 で、早速読んだ。結構、急がされていた仕事があったのに、引き込まれて一気に読んでしまった。おもしろかった。

 普通に思っている”日常”と、戦争という”非日常”。でもその”非日常”は特別なところにあって、大きなうねりとなって押し寄せるモンではなくて、きっとどうしようもない大きな力で、知らず知らずに自分の廻りを取り囲んでしまうモノなのかもしれない。大きな力に抗すること無く思考停止してしまうことの恐ろしさ。

 そんな”非日常”の中でも”日常”は続く、仕事もしなくちゃいけないし、恋もする。

 小説の語り手である「僕」は、ごく普通の地方都市に住むサラリーマン。もう一人の主人公である「香西さん」は、町役場の公務員。
 典型化が極端すぎるかな?と思うほどの「普通の人」である主人公が、なんのしがらみもなく、となり町との戦争に「いち町民」として「住民協力」する。実はこの戦争は、国の施策の元、地域活性の手段として実施されている。香西さんはまじめな町役場職員として、施策である「となり町との戦争」を効率よく、執行していくことを事務的にこなす。
 この構図は、実感としてよくわかる。「となり町との戦争」という異様な施策だけが奇異に感じるが、都市計画や中心市街地活性化や公営住宅など、僕がこれまで関わったことのあることも同じ構図の上で行われてきた。「人を殺すこと」というタブーの垣根を取り払えば、同様なことが行われている。
 大きな力、その大きな力を実際に実行する「公共性」という正義を信じて邁進する行政、どうしようもなく巻き込まれていく普通の人々。そんな中でも行われている日常の生活。

 多様性と対立を認知する。思考停止しない。

 是非、一読を、おすすめ出来る一冊でした。(出来ればこのページの左のamazonのバナーからご購入を! ^_^;)

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