構造計算書偽造事件について考えてみた(1)
建築確認申請時に添付する構造計算書の偽造事件について考えてみた。
同じ業界に居る人間として、構造計算書を偽造していた構造設計者には非常に憤りを感じる。同情の余地もない。
しかし、当初の報道では、彼だけに責任の追及の焦点が絞られており、非常に違和感を感じた。また、悪者捜しに終始し、こういう危機が起こった時に最優先でとるべき行動をとっていないテレビ・新聞などの報道の底の浅さを感じた。
報道としては、事件の事実(耐震性能が不足している建物)を世間に広めると共に、震度5程度で崩壊の恐れがあるというコトの緊急性から被害者対策を強く訴えるべきであろう。販売主・設計者・施工者・検査機関・行政それぞれに責任があるのは自明なのだから、誰が一番悪いのかという詮索だけの報道姿勢は底が浅いとしか云いようがない。
この事件を引き起こした全体の構図を考えてみるために、事件を入口と中間、出口に分けて考えてみる。