2006年3月 3日

SEK-House 建て方・上棟・棟上げ

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 たまには、僕の仕事の紹介などを・・・。
 今日は、SEK-Houseの"建て方"でした。一般的には”上棟”または”棟上げ”といった方が分かりやすいかも。
 鉄骨造の建物では一般的に構造部材を現場で組み上げることを”建て方”といい、木造では”上棟”・”棟上げ”といいます。
 つまり、昨日まで現場には基礎しかなかったのが、土台から柱や梁・桁などを搬入し立ち上げる・組み上げることで建物が平面から立体になるのです。
 建て主にとっては、基礎だけの時は不安な程、建ててる家が小さく見えてましたが、上棟すると、今度は意外に大きく見えるので安心する日です。



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 この様に柱(この写真は小屋束)と桁などの横架材を地上で地組みしてから、レッカーで吊り上げ組んでいきます。
 柱と桁の仕口(接合部)は、桁側にホゾ穴を明けておき、柱の端部を長いホゾに加工して入れ込み、さらに横から樫の木の”込み栓”を打ち込んで固定します。

 込み栓の孔は、込み栓より1〜2㎜直径が小さいのでカケヤという大きな木槌で打ち込みます。また、組み上げる時にもカケヤで柱や梁を打ちながら組込んでいくので、建て方にはカケヤが大活躍します。「トントン、トントン・・・」という音があちこちから聞こえ、いかにも家を建てているという感じです。

 最近は、木造在来工法を謳っている工務店でもプレカット工法という工場加工の短ホゾ仕口の材を使うので、この様な込み栓の打ち込みは行っていません。代わりに強度を確保するために山型プレートとかT型プレートという金物の板を横から添えて打ち付けます。ちなみに、建築基準法では、長ホゾ込み栓打ちの仕口よりも金物使用の方が引き抜き強度があるとしていますが、現場での感覚からいうと、金物は木材と相性が良くないので、長ホゾ込み栓打ち込みの仕口の方が長期にわたって強度が確保出来る様な気がします。込み栓は、上述したようにきつく入れ込み、また樫の木なので大変硬いので、僕が見ている前だけでカケヤが2本割れました。

 ということで、長ホゾ込み栓打ちの仕口で十分強度があるような気がしますが、建築基準法上、適合するように各仕口のN値という引き抜き応力を計算して、長ホゾ込み栓打ちで計算上強度が足りないところは山型プレートを添え付けます。(どうも腑に落ちない)

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 組上がった床梁と柱の仕口。真ん中に丸くボコッと飛び出しているのが込み栓。この柱にとりつく壁は真壁(和室などで柱を見せる壁)なので柱にシャクリという溝が入っていいます。

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 1階の床組です。土台と同じ高さで大引きと床梁を910間隔で格子状に組んでいます。ココに厚さ40㎜の杉板を張り床仕上げとします。深いベタ基礎は床下収納となります。

 この様に、建て方においては、別の加工場で刻んだ材料を組み上げていく作業なので、現場監理という仕事は、材料に損傷はないか確認することと事前の加工が万が一間違っていた場合の現場対応の検討、仕上材の納まりを想像しての最終形態確認になります。

 この現場では、構造主要部材を組み上げた後、水平・垂直を確認し、鉄製のジグを使い建て入れ直しを本日の作業を終了としました。

 組み上げている最中は天気が良かったのですが、3時の休憩の後、急に黒い雲が拡がり霰が降ってきました。大あわてで撤収です。大工さんが了解していたんですが、上棟式のない建て方はやはりちょっと寂しい気がします。まぁ今日のような天気では出来なかったですが・・・。

 明日から筋交いをいれ、屋根の野地板を葺き始めます。

 現場監理としては、筋交いが完了した時点で仕口金物の検査を行います。

 

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