建築士のための指定講習会(1)
一週間遅れのエントリーになりますが、「建築士のための指定講習会」を受講したので報告。
この講習は、建築士法施行規則で「国土交通大臣は、建築物の設計及び工事監理に必要な知識及び技能の維持向上を図るため、建築士を対象とする講習を指定することができる。」とされたものです。
昨今の”構造計算書偽装問題”などで建築士という国家資格に対する信頼がガタ落ちになったからか、自らの”知識及び技能の維持向上”への努力を証明しようとする受講者数が多かった。
国家資格の多くは、一回取得してしまえば、業務の独占権を所有でき、一生使えるようになっている。しかし、社会情勢や技術や法律などの変化にかかわらず、何十年も前に資格取得するために詰め込んだ知識で一生通用する訳はないし、それを国が保証するのはおかしいと思う。
そんな意味で、不十分なところは多々あるが、専門家としての”国に指定された講習会”の意義はあると思う。
ところが、平成17年度で”国が指定する講習会”は無くなってしまうのだ。
国土交通省は、この指定講習の廃止についてのパブリックコメントを募集中である。
実は廃止が決まったのは、平成14年3月9日の閣議決定だそうで、そのころは構造改革とやらで国の権限委譲の一部であった。
建物は社会的なものであり、純粋な個人所有物ではあり得ない。図らずも、それを構造計算書偽装などの一連の問題が明らかにしたと思う。生命や財産の安全を保証する最低限のルールが法律であると考えると、それをつくることができると保証した国家資格者の継続教育を国が放棄してしまって良いのだろうか?
一方で、狭いようで広い日本の国土に建つ建物は、多種多様な環境(自然環境や文化・歴史・経済など)の中にある。それを一律の基準で定めようとすると本当に低い水準でしか定められない。国は権限を放棄するのではなく、権限を各地域の自治体に委譲して、より緻密な基準を定めるべきだと思う。(”国”とか”国家”という言葉を使ってあまり考えすぎると何か排他性を帯びてしまうのでイヤなのだが・・・)
僕はハナから”市場原理”などというものに正義は感じていない。少なくとも、そこに暮らしている人の生命・財産を脅かす穴を法律でつくってしまうことは、国とか自治体の責任放棄としか思えない。専門資格者への継続教育は、罰則も含め法律上で何らかの基準を定めるべきであると思う。
意見のある人はどうぞ、国交省へ意見を出そう。
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