2005年9月23日

S-House 珪藻土壁材

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 S-Houseの1階の玄関・居間・キッチン・和室・洗面脱衣・浴室・トイレの壁・天井は、奮発して珪藻土壁材を左官仕上した。  その代わりといってはなんだが、2階の寝室・子供部屋などの壁は、外壁下地の構造合板に半透明の自然塗料が塗ってあるだけ。1階の珪藻土壁材の調子がすこぶる良いので、お金を貯めて、いずれは2階も珪藻土壁材を塗りたいと考えている。

050921S-House02_1 居間より和室・玄関方向を見た写真。居間は吹き抜けになっている。
 壁・天井ともボード下地の上に珪藻土壁材塗り。
 珪藻土壁材は、日本ケイソウド建材の「エコ・クィーンNSR」という材料。表面は金ごて平滑仕上げ。
 写真では分かりづらいが色は、ごくわずかに黄色味がかっている。
 構造合板下地に珪藻土壁材を塗った場所もあるが、専用の下塗り材を施しても、わずかに茶色いシミが生じた。改修などで既存の壁に上塗りすることもできるが、下地が合板である時には注意が必要かと思う。

 珪藻土は、珪藻という原始の海の藻の一種が死滅し海底に堆積して珪酸質(SiO2)の殻が化石化した部分を含む土である。その珪酸質の殻が超多孔質なので、軽くて、火に強く、調湿作用があるといわれている。
 珪藻土の多孔性、つまり穴の細かさと多さは、よく珪藻土を使用した建材のカタログなどの電子顕微鏡写真で説明されるように、かなり細かくて孔が多い。同じ量当たりの孔の数では、同じく多孔質であると言われる木炭の5千〜6千倍にもなる。しかも珪藻の殻は安定したガラスと同じ珪酸質であるので、優れた特性を持つ。

 ところが、珪藻土を使っていると謳った建材は多数あるが、メーカーによって性能が全然違う。どう性能が違うかというと、調湿作用に関係する吸水性が大きく違う。カタログ等で見てもどこのメーカーも良いことしか書いてないので良く判らない。
 吸水性能を簡単に確かめる方法として、ちょっと汚いが、舐めてみると良く判る。吸水性が高い珪藻土壁材は、舌が吸い付く。舐めるのがちょっとという方は、霧吹きで水を拭きかけてみて吸水性を確かめるとよい。吸水性能の劣る製品は、水を吸い込まずに流れ落ちる。
 この違いは、珪藻土自体では水でといて塗っても固まらないため、固化剤を混入するが、その固化剤の種別と量の違いによると言われている。塗りやすいようにするために、速乾性の樹脂系の固化剤を多量に混入している製品は、吸水性が劣るといわれている。珪藻土自体も掘り出して自然乾燥させただけでは、不純物が多く、微細な不純物が孔の中に詰まってしまって吸水性能が落ちるらしい。ビールの濾過剤やパンの充填剤として使用されているような焼成して不純物を取り除いた白色珪藻土が好ましいらしい。
 とにかく、舐めて舌に吸い付かないような珪藻土壁材は、名前だけなのだ。ご注意を。

 2年弱暮らしてみての実感としては、まず第一に空気が爽やかな感じがする。これは、湿度を調整する機能と臭いを吸収する機能がうまく働いているおかげだと思う。高価な桧などほとんど使っていないのだが、尋ねてきた人は玄関に入ると「木の良い香りがしますね。」という。どうやら程良く臭いを吸収してくれているようだ。
 次に、家族全員が風邪をひきにくくなった。冬は時々壁に霧吹きで水を吹き付けている。珪藻土の壁が空気の乾燥状態に合わせて水蒸気を発散しているようだ。ちなみに、エコ・クイーンは、固化剤に消石灰と白セメントを使っている。消石灰は水と反応して硬化するので、壁が水に溶けるということは無い。
 浴室の上壁・天井も珪藻土壁材塗りとした。この上壁・天井面は一切掃除していないが、カビなどは全然発生していない。また、浴室と脱衣室は乾燥するのが早く、通常の換気扇を回しておくだけで、窓等は空けなくてもカビなどは生じていない。
 子供の手あか等で汚れた時には消しゴムで消すか、十分に湿らせておいてから、中性洗剤で拭き取るだけで綺麗に落とせる。

 若干気になることは、木部が乾燥収縮して、建具枠などのチリ際に隙間が空いてしまった。これは1年目の補修で直したが、木はまだ縮むので、また隙間が空いてしまうだろう。建具枠などはある程度は太くなっても、チリジャクリを設けて塗り入れるような納まりにする方が無難であろう。

 これといって、文句の付けようのない仕上材であると思う。ただし、ビニールクロスから比べると値段が3倍から4倍するので、その点だけが課題であるかも知れない。
 何にプライオリティーをおくべきかをよく考えて、コストバランスをとる設計術が必要になる。

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