2005年9月22日

S-House-階段

S-House01_T
 S-Houseをもう一度紹介することで、設計の時に考えたこと、その結果と2年間そこで過ごして気が付いたこと、を確認してみる。  今回は、階段について、・・・。

050921S-House01_1
 この階段は、デザインしすぎないで、機能上必要最低限の要素だけで単純に構成させたいと考えた。
 往々にして、室の雰囲気から逸脱したような、オブジェ的な凝った階段を見かけるが、僕は、住宅の階段には必然性のない形はいらないと考えている。
 この階段を構成する要素は、厚さ9ミリの鉄板のササラ桁と、そのササラ桁にアングルを付けて渡した厚さ27㎜のタモ集成材の段板、それにササラ桁からたてた直径32φのスチールパイプの手摺だけである。


 構成する要素を最小限とする代わりに、機能性を考えて、構成要素の大きさとその位置に注意を払った。
 これまでの経験から、階段の蹴上(段差)と踏み面(段板の奥行き)の寸法を足した数字が1尺5寸(約455㎜)になるような階段が上り下りがしやすい。今回は、ほぼストレートな階段なので、つまづいた時に一気に転げ落ちてしまう。そこで、ちょっと贅沢をして蹴上180㎜、踏み面270㎜とした。また、蹴込み板を設けていないので、下の段板に腰掛けて、その上の段板に向かうとちょうど子供がテーブル代わりに使えるようになる。それを意図して、子供の椅子とテーブルの高低差として都合の良い180㎜を蹴上寸法とした。
 さらに、下の方の3段を曲げることで、上から見た時に、「転げ落ちても途中で壁にぶつかって止まるような安心感」を出そうとした。

 手摺パイプは片側一本である。誰でも握りやすい径として32㎜のパイプを使用し、支柱から手摺に機能が替わる部分の屈折はなめらかなRとした。高さは、年寄りでも体重をかけやすく、一人で階段で遊ぶ3歳児でもぎりぎり落ちない寸法、段板から920㎜とした。
 この手摺は、支柱が真ん中に一本しかないので、よく「子度が落ちて危ないんじゃない?」と聞かれるが、「慣れるとそんなに落ちないモンだよ。」と答えている。確かにそんなに落ちない。・・・1人1回ずつしか落ちていない。(笑)今では子供たちは、階段の手摺の外側をぶら下がるようにして上り下りしている。

 色については、構成要素が少ないので、手摺パイプの色だけを有彩色にした。ちなみにこの赤い色を選択したのは、妻である。毎日のように子供たちが手摺にぶら下がっているので、そろそろ赤いペンキがはげてきた。

 自分では、上り下りの楽な階段ができたと自負しているが、うちの家族を含めみんな赤い手摺パイプが気になるみたいで、誰も寸法をほめてはくれない。(悲)

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