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　端から見ていると幸福そうな人でも、その心理状態は、全て満足していることはないと思う。増してや、浮かれた時代から突然、”痛みをこらえて”の状況が長く続いている状況では、人々の心理は不満足だらけだと思う。そんな鬱積した不満足な状態には、「カイカク」という言葉は、魔法の響きを持っている。
　”革新”か”保守”かという二元的なとらえ方もどうかと思うが、元来、自民党や民主党の一部の政治家は、政治的には”保守”であることを表明してきた。それが分かりやすかった。しかし、状況は不満足が鬱積している。”保守”では響きが悪し、求められている”カイカク”には馴染まない。自分たちの役割が無くなってしまう。そこで小泉首相は、、「自民党をぶっ壊す！」と宣言して、あまりぶっ壊れないんで言葉に勢いが無くなると、次は、「カイカクだ！」といって、巧みに元来の”保守”の姿を隠してしまった。（良くも悪くも首相の言葉に従って外務省をぶっ壊そうとした田中真紀子は、川口ナントカという優秀な官僚に変えられてしまった。あの時点で本来の保守的な姿が表れていたと思う。）

　でも、首相がヒステリックに叫ぶカイカクの中身とは何だったんだろう？
　どうやら、郵政事業を民営化することを指していることは分かる。しかし、郵政事業を民営化することが、どうして国のかたちを変えるような改革なんだろうか分からない。郵政事業を官でやっていることで、誰か得している人がいるの？それに、そのカイカクって改正なの？改悪なの？。そもそもカイカクの目的は？
　これは僕の頭が悪いから分からないのだろうか？ただ一つだけ分かるのは、郵政事業が民営化しても、そのことで自分の生活は直接的には変わらないだろうなということ。それから特定郵便局という既得権益者がいて得をしていそうだということ。これでは「良く判らないけど、他の人が得をしているのは許せないし、自分以外の人が変わることで、世の中が良くなるなら、カイカクしてよ。」って思えてしまう。
　一方で、「任期中は消費税は増税はしません。2007年度に税制の抜本的な改革を検討します。」と言っている。本来は、何かを変えるときには、何らかの摩擦や軋轢が生じるのが世の常だと思う。ところが、税金という生々しい金銭面から「当面は、あなた方は変わらなくてもいいですよ（2007年度以降はまたその時考えましょう）」と甘言している。

　選挙制度から一概にはいえないが、首相の叫ぶ”カイカク！郵政民営化”が勝利したということは、選挙の結果、日本は「自分は変わりたくないが、他の人が得しているのは許せない。」という卑しい姿を見せてしまったのかも知れない。

　「わかりやすさ」「メッセージの伝わりやすさ」が今回の選挙の勝敗につながったともいわれ、分かりやすい単純な言葉の政治になるような予感がある。
　これは大変危険なことだと危惧する。複雑なことは複雑なまま解かないといけない。複雑なことを単純化して考えると、世の中が単一指向になってしまう。いずれは国際社会から孤立した全体主義に陥ってしまうと思う。

　正直に言って、こんな国には見切りを付けたい気分だ。僕は、アナーキストではないが、国（国民も政府も）というものに対して失望を感じている。

9/12朝　追記）
　選挙の結果にショックを受けて、昨晩はやや興奮気味だったようだ。朝になって自分のエントリーを読み返してみると、他人事のように「この先どうなっても、僕は知らんもんね。」っていう感じになってしまっている気がする。
　朝になって息子や娘の顔を見たら、「他人事ではいけない、自分自身も社会を形作る一人として責任を負わなくていけない」と思い返した。