2005年6月 3日

輸入住宅のハウスメーカーって?

「幸わせの実現の場」である住宅を取得しようとしている方々に、結論から言ってしまおう。

「ツーバイフォー、もしくはツーバイシックスなどの輸入住宅は、絶対買わない・建てない」

もう既にそこに住んでいる方は、「建っている場所の気候に適した改修をメーカーにさせるべき」である。

 というのは、
 とあることから、地元ハウスメーカーで設計施工した2×6の輸入住宅を拝見した。
 ツーバイフォー(2インチ×4インチ)ならぬツーバイシックス(2インチ×6インチ)の住宅で、建具などは輸入木製サッシであった。
 築後4年経過したが、引き渡し直後に発生した雨漏り等の瑕疵に対して、その地元ハウスメーカーが一向に責任を取らないとのことで、相談を受けた。
 瑕疵内容は、2階バルコニーからの雨漏り・それに伴う外壁の白華・内部造作材のシミ・木製サッシュタテ枠下部の腐食・木製サッシュ框の割れ。これはどう考えても、ハウスメーカーで無償修理すべきである。(もちろん10年保証の契約もしてある)
 後日、地元ハウスメーカーの社長がそのお宅にくるというので、何故、とっとと責任とって対応しないのか、その社長の言い分を聞くことにした。

 そして、その社長と対面した。一言でいうと「根拠のない尊大な態度」の人物であった。
 社長曰く「木は自然のものだから割れもすれば、腐るのも当たり前だ。メンテナンスの仕方を教えてあげたのに、そのメンテナンスが悪かったから発生したことだ。木製サッシュのタテ枠の腐った部分の材料(30㎝)は支給するが、取り替える大工手間はそっちで負担することになる。」と。
 教えていただいたメンテナンスの仕方とは、「タテ枠と下枠水切りの取り合い部分に時々シーリング材か防水スプレーを塗る」ということだそうだ。お客に対して「教えてあげた」という言い方。その教えていただいた内容。ともに憤りを通り越して唖然としてしまった。

 社長の「根拠のない尊大な態度」はその人特有のものかも知れないが、「ツーバイ何とか」の輸入住宅の仕組み自体に重大な欠陥がある。

 そもそも「ツーバイフォー」工法は、19世紀の初め頃、アメリカ西部に続々と入植する開拓民が技術はなくても建てられる工法として考えられた。つまり、質より量をまかなうため考えられた工法で、開拓民の一時しのぎの住宅であった。当時から終の棲家としての役割は与えられていなかった。終の棲家は、ツーバイフォー工法で建てられた住宅ではなく、レンガ積みの住宅だった。アメリカではツーバイフォー工法は、別名「バルーンフレーミング」と呼ばれ、風で飛ばされるような住宅という認識であったという。
 日本にその工法が紹介され、導入されたのは意外と古く、明治の初期に北海道で屯田兵たちが建設された記録が残っているという。しかし現在その当時の建物は一つも残っていない。また、太平洋戦争の敗戦後に占領軍であるアメリカ軍によって、沖縄でもこの工法による住宅が建設されたのだが、ほとんど残っていないという。本国でも一時しのぎの住宅をつくる工法であるツーバイフォー工法は、ましてや高温多湿な日本では(比較的低温低湿な北海道でも)長い時間は耐えられないことが証明されている。

 「ツーバイ何とか工法」の住宅を販売している日本のハウスメーカーは、「いや、日本の気候風土に合わせていろいろと技術改良しているから大丈夫」と言うでしょう。しかし、この工法の根本的な所に欠陥はある。
 まず、建設の手順として、床を張ってから壁パネルを立ち上げ、その後に上階の床または屋根をかける。つまり建て方の最中はコップのような状態になっている。その間に雨の日があれば当然のことながら床及び壁はぬれた状態になり、構造合板やツーバイ材も湿潤状態になる。気候が良ければ乾燥させてから次の工程へ移れるが、工期短縮=コスト縮減の住宅の現場ではあり得ないので、次々と蓋をしてゆくことになる。つまり、箱の内部が湿潤な状態のまま蓋をしてゆく。
 次に材質。ツーバイ材は、通常北米などからの輸入材を使用する。しかも製材後の材料で輸入する。木は当然ながら乾燥によって収縮し、ソリや割れが発生する。したがって原木を充分乾燥させないと製材後にそのソリや割れが発生する。原産国であるアメリカやカナダで人工乾燥させ含水率を基準値以下にしてから製材していると言うが、どういうワケか日本に持ってくるとソリや割れが生じる。(ホームセンターなどで売っている2×4や2×8の材料をみると良く判る)。在来工法でも、見え掛かりにならない構造材は、多少の割れやソリは無視してしまうが、在来工法の普通の腕の大工であれば、木表と木裏を勘案し、使う方向を決定する。ところがツーバイ材では原木からいかに多くの材がとれるかの効率を優先して木取りされており、また、上述したように未熟練な労働者でも建設出来る工法なので、とにかく構造合板に金物でバンバン留めていく。高温多湿な日本での経年変化でどうなるかは推して知るべしである。
 ツーバイ材だけでなく、輸入の木製サッシュなどの部品も、日本と比べ低温低湿な環境での実績に基づいてつくられていて、その地では洗練された技術のものであるが、日本では不具合を起こすものが多いようだ。今回拝見した住宅では、木製の框ドア(外部)の框に割れが生じて材を貫通し、光や風が抜けるような状態になっていた。(どう考えても欠陥部品なんだから、無償で取り替えだと思うのだが、「自然の材料だからしょうがない。木パテで穴ふさぎを居住者がすべき」とハウスメーカー社長はおっしゃった。理解出来ない。)また、外部に面する木製サッシュは、どう考えても水切りの納まりが不完全。下枠水切りがタテ枠に5㎜くらい差し込まれていて、しかもただ差し込んであるだけ。毛管現象で水は狭い隙間に吸い込まれるのは当然で、この隙間に入った水はタテ枠切り込み部の小口から吸い上げられタテ枠下部は腐っていた。日本の外部開口部の納まりとしてはあり得ない拙稚な納まり。(例の社長は「この切り込みの隙間にシーリング材を塗るか防水スプレーを塗るのがメンテナンス」といっていたが、そんなシーリング材を面で塗るとか、防水スプレーみたいな軽微なものを使うってのは何なんだ?)そのほか屋根の軒先の形状とかバルコニーの排水処理の仕様とか、日本の職人が見たら「こりゃダメだ」ってものが多すぎる。少なくとも、外部に面する雨水の排水処理部分は、板金等の部品を追加しないと耐えられない仕様になっている。
 最後に決定的にイカンと思うのは、開口部の少なさ・窓の小ささである。構造上、壁で支えているため、開口部が小さく、少なくなってしまう。全室によどみが出来ることなく通風換気が出来ることが住み心地の重要な条件となる日本において、この窓の小ささは、いかがなものか?また、このことは増改築のしにくさとも関連する。住む人の加齢に伴う生活の変化に合わせたフレキシビリティーがないのである。窓は取り替えられるが、外壁に新たに窓を設けたり、穴を空けて増築したり、間仕切り壁を取り払ったりすることが非常に困難なのである。ツーバイ何とかのハウスメーカーに限らず最近は大手ハウスメーカーは関連会社としてリフォーム会社をつくっているが、簡便に増改築や改修が出来ず、費用のかかるリフォームしか出来ない住宅を売っておいて、リフォームでまた利益を上げるとは、すばらしいビジネスモデルである。

 と、言うことで、ツーバイ何とかの住宅は、買ってはいけない。買ってしまっていたら、建っている場所に適した改修をメーカーに求めるべきである。

 いみじくも、積○ハイムのコマーシャルで、「2×6=0」っていってる。そう、得るものは何もなく、ゼロなのかも知れない。

 ついでに、ココで登場する地元ハウスメーカーのHP(ただし、住宅建設販売を行っていた会社自体はやめてしまっいてる。「○○○○ハウジンググループ」とかいっているが・・・。つまり「会社が無くなってしまったので、10年保証も無効だよーん。」というもっとふざけた態度。)

トラックバックURL

このエントリーのトラックバックURL:
http://shade-factory.net/cgi/mt/mt-tb.cgi/410

コメント

長文お疲れt
晒しについては、GJ!
なかなかやるなt

技術や知識をちゃんと身につけてから、ユーザーに提供出来る商品を造って欲しいわなぁt
ま、それ以前の話としてモラルが何よりも優先される訳だがt

今後どーなるんだろ?とても気になるt
俺も乱入しちゃおうかな?

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)